月1万円で400万?iDeCoの「引き出せない不便さ」が資産を守る盾になる

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執筆者:金子裕二(現役大学教員・カウンセラー)
25年以上の教育・研究実績(論文60本超)に基づき、
客観的な視点で執筆しています。

「投資なんて、やればやるほどお金も心も削られる」 20年前の私は、本気でそう思っていました。

でも先日、馴染みのバーでマスターと交わした会話で、ちょっと考え方が変わりました。

iDecoって、本当に増えるのかな・・・と疑心暗鬼な私が得た1つのヒントです。

iDeCo(イデコ)ってなに?

まず、iDeCoの仕組みを簡単に説明すると・・・

「60歳の自分にお小遣いを届ける、タイムカプセル付きの貯金箱」です。

  1. 自分で決めた金額を積み立てる: 毎月、自分の専用口座にお金を入れます。
  2. 商品を選ぶ: そのお金で「投資信託(世界中の株などの詰め合わせパック)」などを買います。
  3. 自動で進む: 一度設定すれば、あとは毎月自動で積み立てられていきます。
  4. 60歳まで開けられない: これが最大のルールです。60歳になるまで、原則としてお金を引き出すことはできません。

その代わり、「今払っている税金が安くなる」という、国が用意した強力なボーナスがついてきます。

バーのマスターが10年間放置していたiDecoの話

馴染みのバーのカウンターで、マスターから聞いたiDeCo(イデコ)の成功体験を映したスマートフォンの画面。「月1万円で400万?iDeCoの『不自由さ』は、あなたを守る盾になる」というキャッチコピーと、60歳の自分へのお小遣いと書かれたタイムカプセル付きの貯金箱。

私には行きつけの小さなバーがあります。退職するまでは、投資なんて自分には縁がないとずっと思って来ました。

ただ、お金は寝かして置くだけでは意味がないということも過去の経験から感じています。

「心の平穏」を求めた20年の軌跡|意図せず資産形成に繋がった住まいの記録

寝かしておくだけだと、インフレや円安で実際の価値が下がるリスクもあります。

もう1つ気づいた点。

所得はがっぽり税金を取られるけれど、資産にしてしまえば相続までは税金がかかりません。また投資で取られる税金は20%。新NISA等をうまく使えば非課税。

最近になってちょっとだけそのメリットがわかってきました。

そんな折先日聞いたのが、iDecoに関するバーのマスターの話です。

行きつけのバーのマスターは57歳。馬が合うというか、閉店が11時なのに、気がつくと午前2時まで話し込んでしまうこともありました。

いろいろな職業を経験している方です。給与所得を得ていた時期があるそうで、その時期にiDecoの積立をしていたことを思い出したそうです。

毎月5000円の積立で3年。お店の経営を始めた時には積立をやめていたそうです。

月日が経ってそれから15年。親の相続手続きで書類を整理していて、自分が積み立てていたiDecoの書類が出てきたらしいのです。

私が「で、どう?」と聞くと「増えてた」とマスターが言いました。

私は定年前に退職してしまったので、iDecoの恩恵に預かることはできませんが、放置で増える。それを実際に理解した初めての体験でした。

20年前、私が「判断を止めてしまった」時間

マスターの話を聞きながら、私は20年前の自分を思い出していました。

「あの時、私は判断を止めてしまった」——退職金200万円の失敗から学んだ投資の恐怖と心理学 「シミュレーションでは勝てたのに」——波乗りトレードの挫折と、プロの敗北から学んだこと 精神的に余裕がない時、投資判断はうまくいかない

当時の私は、自分の手で利益を掴もうと必死でした。

でも、動けば動くほど傷つき、最後は200万円という大金を失って、考えることすら止めてしまったのです。

一方で、マスターは「自分では何もしなかった(忘れていた=引き出さなかった)」からこそ、わずかではありますが、利益を手にしていました。この違いは一体どこにあるのでしょうか。

【試算】毎月1万円を20年積み立てたらどうなる?

マスターは毎月5千円でしたが、仮に「月1万円」をiDeCoで積み立てたら、どんな未来が待っているのか試算してみましょう。

  • 積立額: 月1万円
  • 期間: 20年間
  • 想定利回り: 年利5%(世界経済の成長率を目安に設定)

20年後の結果:

  • 自分で出したお金の合計:240万円
  • 運用で増えた分:約170万円
  • 合計:約410万円

さらに、iDeCoには「節税」という隠れたボーナスがあります。 所得税や住民税が安くなるため、年収にもよりますが20年間で合計 約48万円もの現金を、税金として引かれずに手元に残せたことになります。

合計すると、普通に貯金するよりも約220万円分も有利になる計算です。

【シミュレーションに関するご注意】

本記事に掲載している試算結果は、特定の運用商品や利回りを保証するものではありません。

  • 運用のリスク: 投資信託等による運用には価格変動リスクがあり、受取時の資産額が元本を下回る(元本割れ)可能性があります。
  • 税制メリット: 節税額の試算は一般的な年収や所得構成に基づいた目安であり、個人の状況や今後の税制改正により異なる場合があります。
  • 手数料等: iDeCoの運用には別途、加入時や毎月の口座管理手数料が発生します。

最終的な投資判断は、ご自身の責任において行っていただけますようお願いいたします。

「不自由さ」は、あなたを守る盾になるかもしれない

iDeCoの最大のデメリットは「60歳まで引き出せないこと」だと言われます。

でも、失敗を経験した今の私には、これが最大のメリットに見えます。

私が20年前に失敗したのは、「いつでもお金を動かせたから」です。

不安になったら売り、欲が出たら買う。そんな「心のバグ」に振り回されて自滅しました。

一方でマスターがわずかですが利益を手にしたのは、iDeCoという仕組みが「余計なことをさせなかった」からです。

この不自由さこそが、焦りや迷いという敵から、あなたのお金を守る最強の「盾」になります。

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まとめ:iDeCoは「削らない投資」の1つの選択肢

投資で一番大切なのは、相場を予想することでも、難しい勉強をすることでもないようです。

「削らない仕組み」に乗っかって、あとは忘れておくことです。

「増やす」ことを頑張るのをやめて、60歳の自分へのタイムカプセルを準備することを考えるのもいいかもしれません。

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公式サイトリンク

iDeCo(イデコ)に関するよくある質問(FAQ)

Q1:今さら始めても遅くないですか?

A: 何歳から始めても、その時点から60歳までの「節税メリット」と「運用益」は確実に受け取れます。たとえ数年でも、預金より有利になるケースが多いため、気づいた時が始めどきです。

Q2:途中で積立金額を変えることはできますか?

A: はい、年に1回、積立金額を変更することができます。家計の状況に合わせて、無理のない範囲で調整(5,000円から1,000円単位)が可能です。

Q3:もし会社を辞めたらどうなりますか?

A: 転職先や独立後の状況に応じて、そのまま継続したり、一時的に積立を休止したりする手続きが可能です。バーのマスターのように、積立を止めて「運用だけ続ける」こともできます。

Q4:専業主婦(夫)でもメリットはありますか?

A: ご自身に所得がない場合は「所得控除(節税)」のメリットは受けられませんが、「運用益が非課税になる」というメリットは同様に享受できます。

Q5:どの銀行や証券会社で始めても同じですか?

A: いえ、金融機関によって「毎月の手数料」と「選べる商品」が異なります。なるべく手数料が安く、信託報酬(管理コスト)の低い投資信託を扱っているネット証券などを選ぶのが、資産を「削らない」コツです。

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